『コロコロノココロ 』
  一昨年放送されたCX「ザ・ノンフィクション〜柴又草だんご頑固物語」の番宣スチールの仕事をしました。
寅さん亡き後、寂れ行く下町の商店街柴又帝釈天の草団子屋「亀屋」を取り巻く後継者問題や跡継ぎ息子の奮闘挽回ぶり、親子の絆をピュアな視線でまとめたドキュメンタリーです。
 日曜日の昼間にやっている番組なのでもしかするとご覧になった方もあるかと思います。取材は夏過ぎに始まりました。登場人物は実在の人物。
 ここでは名前は敢えて掲載しませんが柴又の亀屋さんは江戸時代から続く草団子屋さん。帝釈天の門前にありますからぜひ尋ねてみて下さい。

 いつもだとテレビの番宣スチールというのは新聞のテレビ欄、テレビガイド等のテレビ情報誌に載せる為のもので
代表カットが数カット撮れればOK。何も密着してしつこく撮る必要はないのですが、お会いした亀屋の皆さん一人一人のキャラクターが瞬時に僕を虜にしました。こんなにシンプルにピュアにぶっきらぼうに生きている、まるで寅さん映画に登場する人物そのもの。
むしろ事実は小説よりも奇なりで、本物の方が面白い。
そのまんまこの人達を表す言葉だなあとも思いました。

大旦那の言葉「団子はレンゲソウでいいんだ。それ以下でもそれ以上でもなく、敢えて見ようとしなければ気付かず踏んづけて通り過ぎてしまうけど、ふっと足を止めてみたときにそこにあるってのでいいんだ。」この言葉は深いです。
この社長に対して跡継ぎの専務である息子が独自のやり方で奮闘し、店を盛り上げようとする。ここが面白い。
 そして彼らを取り巻くおかみさん、若奥さん、職人さんたちの盛り上げも素晴らしかった。このような愛すべき人達のなかで僕は仕事の域を超えて写真を撮りました。あまりに入り込んでしまったために亀屋さんの販促ポスターまで作ってしまいました。 
その時考えたコピー。

  寅さんが生まれるずっと昔から

  柴又名物コロコロかめやの草団子 

このコピーは僕が作ったコピーの中でも最高の出来です。これ迄も時代劇のコピー作った事あったんですが、仕事ではなくです。今回は愛です。愛。

 この中の「コロコロ」とういのは昔の職人さんが使っていたもので、今は機械化されている団子作りですが、生地をのばして一度に玉を作る手動の道具のことです。これをデパートの催事場で実演するという若旦那の苦肉の策が大成功。今この商店街の各店舗の皆さんが直面している深刻な問題は共通で、寅さんが亡くなった途端に閑古鳥が鳴き、これを手をこまねいて受け入れざるを得ない状況になってしまっている現実。店を閉めてしまう人も。後継者もなかなか出来ない。よそ者の目でこの状況を眺めた時、ひとつの原因は、今まであまりに寅さんに頼り過ぎていたんじゃないかなあって思ったし、団子自体は実に美味しそう、食べたいっ! って思えるもの。それにこの草団子、江戸時代から作ってるんでしょ?歴史があるじゃない、寅さんより !昔から変わらなく美味しいんでしょ? 寅さんにたよらなくとも美味しいよ、皆に食べてもらいたいよってな気持ちを込めてこのコピーになったわけです。愛がある訳です。ばっちりと。「コロコロノココロ」つまり、「ROLLING STONE」ね。亀屋の人々も、僕たちも、時代や社会をコロコロコロコロ転がって、未熟なまんまレンゲソウの様に踏んづけられて、バラか胡蝶蘭と勘違いもしながら、自信過剰と自信喪失くりかえしてコロコロコロコロ転がって転げ回って成長してるのだ!
・・・・・・て訳です。

亀屋さんのHPは   
http://www.kameyahonpo.com/
亀屋さんのホームページはこちら     
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